ずっと世話をしてきた親の財産が後見人に取り上げられちゃうって本当?ちょっと納得行かないなあ!


ずっとお世話をしてきた方にとっては、後見人が財産を取り上げてしまうという感覚を持つのが自然だと思います。親御さんの財産を親御さんのために使っているからこそ、釈然としない思いがあるのでしょう。

成年後見が始まると、おっしゃるとおり通帳は後見人が管理することになります。しかし、被後見人の費用は、被後見人の財産から支払われる必要があるので、例えば入院費を肩代わりしたとすれば、被後見人の財産から支払いを受けることができます。後見人は家庭裁判所の監督を受けていますので、管理する財産を使い込むといったことは困難です。使い込むような後見人は家庭裁判所を通じて解任することもできます。とりわけ、弁護士・司法書士のような専門家の場合は、横領すれば刑事処分を受けるだけでなく、資格を剥奪されるでしょう。

親が認知症だってことを郵便局に知らせたら、親名義の郵便貯金が下ろせなくなっちゃったんですが・・・


郵便局、というかゆうちょ銀行は、通帳の名義人が認知症だと分かれば、「後見人をつけて下さい」と言ったのではないでしょうか。認知症の診断を受ければ、判断能力がすっかり失われていることがほとんどでしょう。ゆうちょ銀行としては、判断能力のある後見人がいなければ、貯金の払い出しに応じないというのは筋が通っています。判断能力を失っている以上、本人は貯金の払い出しの依頼はできません。

この場合はやはり家庭裁判所に成年後見の審判を申し立てて、後見人が本人の貯金を下ろすようにするしかありません。すでにご本人が判断能力を失っている以上、任意後見契約を結ぶことはできません。

成年後見・任意後見って何?


  • 成年後見って何?それをやるとどうなるの?
  • 親が認知症だってことを郵便局に知らせたら、親名義の郵便貯金が下ろせなくなっちゃったんですが・・・
  • ずっと世話をしてきた親の財産が後見人に取り上げられちゃうって本当?ちょっと納得行かないなあ!
  • (奥さまより)私は主人の成年後見人になれるんですか?
  • 任意後見ってよくわからないんですが、成年後見とは違うんですか?

私は司法書士として、自治体や司法書士会の相談会に参加する折、相談者の方に冒頭のような質問を毎回のように受けます。成年後見制度が始まって今年で12年になりますが、まだまだ知られざる制度のようです。

成年後見・任意後見制度は、認知症や精神障害などにより、判断能力を失った方の保護を目的とした制度です。超高齢化社会を迎えた日本では、その対象者はどんどん増えていくでしょう。現状では、後見制度の利用率が極めて低く、保護を受けるべき方が何らの保護も受けていないようです。

このサイトでは、成年後見・任意後見について、できるだけ分かりやすく、無駄なく(歴史的背景などは除きます)記載していきたいと思います。